旅仕度(心構えと準備)


このブログで猫の旅行に興味をもたれた方もいらっしゃると思います。そんな方に参考になればと、リリアンと旅する者として旅の心構えと準備、そして猫との新しい付き合い方について書かせていただきます。

「じゃあうちの子も旅に」はやめて


リリアンは一般の猫と(多分)違い、小さな頃から毎日車に乗せていたので車には慣れて育ちました。それがこのような旅ができるベースになったと思います。動物って生きる術として、小さい頃の環境には適用しやすくなっていると思います。「お風呂大好きな猫」、「ひよこと仲良し猫」もそういうことだと思います。小さな時にそんな環境に慣れ、その後も環境が同じように維持できる限り、リリアンのように旅行ができる猫に育つと思います。一方、成長した猫を違う環境に適応させるのは難しいと思います。もちろん個性もあるのでひとくくりに決めつけられませんが。どうか「じゃあうちの子も」と安易に旅行に連れ出すのはやめてください。アクシデントによる取り返しのつかない悲劇や猫の大きなストレスにつながりかねずとても心配です。ネットでこの話題で検索してみてください。悲しい出来事がたくさん紹介されています。

災害と猫について考えること


以上のことをまずお話しした上であえて付け加えることがあります。もしこれから新しい子猫を迎えようとするのなら、「車および自宅以外の環境でもストレスなく暮らしていける」ような育てかたをすることを一考すべきだと思います。そもそも、私が猫を車に乗せて回るというのは、単純に「いつでも一緒にいたい」からだけじゃなく「何があっても絶対に別れたくない」という強い思いに基づく、最初からの計画です。この思いは、その後起こった東日本大震災の際にペット達に降りかかったありさまを見て一層強いものになっています。震災直後はそういうニュースの見出しさえ目にしたくなく、テレビ、新聞を見るのも避けていたくらいです。ワンちゃん、猫ちゃんだけでなくペットでもない「養鶏場の鶏が全部餓死」なんてニュースも悲しい思いで聞きました。何ごとかを理解できないままに飼い主と生き別れ、悲しい最期を迎えざるを得なかったワンちゃん猫ちゃんのことを思うたび、本当に辛い気持ちがこみ上げてきます。そしてもう一つ、ワンちゃんと猫の間の避難に関わる差異も考えないわけには行きません。昨今はワンちゃんは飼い主さんと旅行に行くのが珍しいことでないようになっていますし、災害時の避難所にも(制約はあるものの)一緒に避難したり、最悪でも車の中で生活を送る様子は報道で見聞きします。一方、猫の現実になると相当違っているのではないかと思います。多分災害の際にそのまま家に残されたまま再び飼い主さんとの幸せな暮らしを手に入れることのできなくなった猫が多いのでは。その大きな要因は猫を連れ出すこと自体がリスクを伴うことだと思います。猫には「避難」ということが理解できず、逆にそこから避難しようと思うでしょう。でも、リリアンなら最悪でも車中でのりきれることでしょう。避難所に入れたとしても猫の場合は啼くことが少ないので周りへの迷惑もそれほど気にならないかもしれません。このように、大きな災害がいつか来ることを考慮すれば「猫は外には連れて行けない」という今までの考え方は見直した方がいいのではないでしょうか?ひと昔前はほとんどなかった「室内飼い」も普及してきた現在、猫との新しい付き合い方としてありえないことではないと思います。幸せな暮らしが想定外の外的要因で一瞬に奪われないように。

完全室内飼いは必要条件


これだけ外に出歩いているリリアンを「完全室内飼い」とは言い難いかもしれませんが、少なくても日常自分の意思で外に出歩ける住環境ではありません。それからリリアンが小さい頃は私の夕食のために毎日実家に連れて行ったのですが、それもいい結果につながっていると思います。自宅、車、実家という3つの場所が彼女のテリトリーとして小さい頃に認識されたのだと思います。「車(と実家)は家の一部、離れのようなもの」という認識をさせるよう自宅の中から車までは必ず抱っこで移動し、部屋の中と車、実家以外は「外界」だと思うように気をつけています。テリトリーですからそこに行くのは嫌なことではなく、逆に行くのが楽しみと感じるようになったのではないでしょうか。「旅日記」で紹介したように一度アクシデントになりかけたことはありますが、車の外は怖いところなので自分からは出るようなことはありません。カートから出てのお散歩はリリアンの「旅日記」の世界だけで、一般的には外出時に最大でもカートの中までが許される範囲かと思います。とにかく「外は怖い」ので自分からは出ないという習慣をつけるのが不可欠だと思います。それが可能になる前提が「完全室内飼い」ではないでしょうか?外を自由に歩くことに慣れた猫を自宅から離れたところに連れていくのはやはりリスク大だと思います。

「車に乗ったらトイレ」の習慣


ワンちゃんと猫との大きな違いの一つがトイレの習慣です。ワンちゃんはこの点で旅行しやすいのですが、猫の場合は心配が出てきます。「常に車の中」が可能ならトイレさえ中にあれば問題ないですが、それができない場面(例えば夏の停車時)が出てくると思います。幸いなことにリリアンは車に乗せると必ずトイレを使用します(もちろん出るものが出てこればですが)。これが大助かりです。猫には言葉が通じないので「これから外出するから、トイレはすませておいてね」と事前に済ませてもらうことはできません。リリアンはたぶん経験的に「車に乗る=外で散歩するけどそこにはトイレがない=今のうちにすませよう」を身につけたのだと思います。また宿用のトイレも持参しているので宿に入ってしまえば大丈夫です。猫は電車やバスなどあるいは徒歩での移動中、基本的にトイレを我慢すると思います。極限に達したらどうなるかわかりませんが、それが電車などの中だったりすればちょっとした悲劇になってしまうでしょう。リリアンの場合は図らずも身につけた習慣ですが、他の猫にも同じことが期待できるし、そういう習慣がつくよう工夫することが必要だと思います。これができれば旅は大助かりになります。

車中泊


現在ペットOKの宿は観光地のペンションが中心になっています。私は都市部でも宿泊したいという身勝手な希望でよくリリアンに車中泊をしてもらっています。本来避けるべきですが、これも災害を考えると可能なら出来るに越したことはないとも思っています。リリアンを見る限り、そんなに寂しがる様子もなく、猫ですからほとんど眠って過ごしています。車が「自分の家」だと猫が認識していればそんなに負担にならない気がします。これが逆にワンちゃんの場合だったら寂しがって大きな声で吠えたりと大変なことになりそうですね。ただ、注意しなければいけないのは「旅日記」の記事にもあるように夏場の車中泊です。特に自分が一人の場合は宿泊中に万一のことがないとは言えないので、モーニングコール、駐車場の位置をメモしてフロントにわたしておくなどの事前の対処をしておく必要があると思います。あるいは宿泊しない家族等とあらかじめ連携して異変があった際に手を打ってもらうということも一つの手でしょう。

パニック


リリアンは旅慣れ、外出慣れしているとは言え、やっぱり猫であることに違いありません。猫だけに限らないのかもしれませんが、突然の大きな音などでパニック状態になってしまうことは避けられないと思います。かつて、ある時高速道路のサービスエリアで散歩のため抱っこして歩いていた時、イベントの売店で「ポン菓子」の実演があり、その爆発音にびっくりして、私の手を離れ遠くまで逃げていったことがありました。これは日常生活の中でもありうることですが、特に外出時に離れ離れになってしまうと大きな悲劇につながる可能性があります。「旅日記」では群馬県の水上で地元の住人になってしまった猫の話を紹介してあります。常にハーネス&リードでいざという時のための措置は忘れずにしておきましょう。慣れているから大丈夫と油断しないよう私も常に自分を戒めています。

ヒトと愛猫の生活情報誌「ねこのきもち」